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友人に借りた歌人・穂村弘のエッセイ集『世界音痴』を読みました。 ![]() いや~、なかなかな妄想力ですよ、これは。 男性ですからね、かなりミラクルな妄想力ですね。 タイトルの『世界音痴』とは、穂村さん曰く 「世界の中に入れない人間」のことなんだそうです。 つまり、飲み会で“自然に”席の移動ができないとか、 寿司屋での注文をいの一番に忘れられるとか、 過去の彼女の名前をネットで探してみるとか。 ほんで“犬”の書き順がおかしい女の子に出会ったら 衝動的に「結婚しよう!」って言いたくなったり、 知人の離婚の知らせを聞いて「ぱっと花が咲いたように明るい気持ちに」なったり。 まー出てくる出てくる、自意識過剰な妄想話。 でもいやぁ、わかります。嫌んなっちゃうほどわかります。 だいたい私が何か書くようになったのだって、 「喋るの苦手」だけど、過剰なほど「言葉」に期待してたからだもん。 そういえば、いつからかな、 こういう“自然にふるまえない自分”について深く考えなくなった、 というか、意識的に考えないようなったのは。 ある時期に「人が苦手」とか思うのって、 すっごい足かせになってると思ったんですよね。 でも今だって、初対面の人に会うときとか、一対一のときとか、 超緊張するし、挙動不審になるし。 超オープンマインドでナチュラルな人に出会うと 「まっ眩し~」と思うし、気後れするし。 でもこんなの、だいたいの人が「あっ、あたしもそう!」って言うよね。 だからといって私は、穂村弘が「世界音痴」とは思いません。 だってこの人、文うまいもの。 憎いくらいにひとりボケ・ツッコミをこなしてるし、 サービス精神にあふれてるし。 めちゃめちゃ自分を客観視できるし、バランスの取れた人だと思います。 それに歌人だからね。 どんなに弱音吐いても、どんなにキモチ悪い男を演じても、 やっぱ洒落者だし伊達男ですよ。 言葉の世界に生きてる人は色男が多いから、100%信用してはいけません。 だから私は、このエッセイを読んで 「ナッイーブねー、あんた!」って笑い飛ばせる女になりたいと思います。 数年前の私だったら、いちばん好きだっただろう歌。 夢の中では、光ることと喋ることはおなじこと。お会いしましょう 今の私がいちばんグッとくる歌。 「美」が虫にみえるのことをユミちゃんとミナコの前でいってはだめね “みえるのこと”なんて言葉のセンス、最高です。 #
by reiko.tsuzura
| 2004-09-24 23:53
| 本
![]() Fatboy Slim@studio coastに行ってきました。 いやー、初ageHaだったんですけど、 けっこうすごいハコですね。 なにがすごいって、まず新木場が遠い! オールのイベントで絶対的に「帰れない」って 想像以上に心細いもので……。 別に渋谷だろうと新宿だろうと、基本的に始発までは帰らないけど、 「帰らない」と「帰れない」は違うわけで……。 いやいや、なんか海風とか冷たかったっす。 そしてフロアに足を踏み入れて、ちょっぴり絶句。 バ、バブリー! 気恥ずかしいほどにバブリー。 そしてVIP ROOMのギラギラ感に軽く引き、 外に出たらブールバーにドン引き。なんでプール!? ……と、すっかり微妙なテンションになり、 なぜかこんな場所で“早起きの有効性”について語っていたら、 12時半になってgrandadbobがスタート。 開始30分は歌姫とともに延々とマックとサンプラーをいじってました。 DJはほどほどにゴキゲンで、ほどほどにユルくて踊りやすかったです。 (何度か「繋げる気ある!?」って聞きたくなったけど) フロアの込み具合もそこそこだったしね。 2時から御大登場。 いやーもう、間違いなくその日新木場でいちばんの人口密度っぷりで 暑い暑い、クソ暑い。そしてみんな押す押す。 私は暑さに耐えかねて一段上がって観てたんですが、 ステージに上がったファンを引きずり下ろした警備員に ファットボーイがわざわざ前に出て交渉してたりして、 うんうん、いい光景だなぁと思いました。 (でも英語が通じてなかった様子) ちなみにフロアはノースモーキング、ノードリンクで 何気にstudio coast中のどこよりも空気がきれいでした。 ファットボーイといえば、ずっと前に 「ダンス・ミュージックは金曜の夜に しょーもない日常を一瞬忘れるためだけのもの」 みたいなことを言ってたインタビューが記憶に残ってます。 でも、この日踊りっぱなしの彼を観てたら、 「うそじゃんそんなの、毎日必死こいて世界中でパーティして、 しかもぜんぜんテンション落ちてないじゃん!」って思いました。 あ、でも今回のDJは思ったほど大ネ使いじゃなかったです。 締めのほうにフランツ・フェルディナンドをかけてました。 4時にファットボーイが終わったら、 KAGAMIとTASAKAによるDISCO TWINS。 でもこの時間にガリガリした音はキツかったので、 フラフラとプールバーに行ってみました。 そしたらねぇ、けっこういいんですよ、 夜風が涼しくて、星はきれいだし、目の前に海は広がってるし。 夏真っ盛りなら、もっと気持ちいいかもしれない。 それにしても、いつかは野外のファットボーイで踊りたいです。 ブライトン・ビーチみたいに、 踊る25万人のひとりになってみたいのです。 フジロック来てくれればいいのになぁ! #
by reiko.tsuzura
| 2004-09-23 20:23
| 音楽
オンガクセイカツ、blogデビューです。 どうぞよろしく。 ![]() 先日図書館から、『鏡の国のアリス』(王国社刊・北村太郎訳)を 借りてきました。 じつはちゃんと内容を憶えてなかったりするアリス。 でも英語の勉強してると、必ずと言っていいほど 英文モデルとして出てきます。あと「オズの魔法使い」もね。 どちらも子供の頃は、そこはかとないほの暗さが ちょっと苦手だったのです。 でも、こうして改めて読み返してみると、 これってけっこう難しいっちゃー難しい小説かも。 児童小説というのを抜きにしても、いきなりチェスのルールに のっとってお話が進むあたり、苦手意識をなくさないと 世界に入りこめないですしね。 (チェスって何度挑んでも、まったく理解できない) あとはこれ、完全に言葉遊びの本なんですね。 全編ダブルミーニングと韻の連発で、 原文で読まないと意味をなさない部分が多いみたい。 でも和訳もかなりステキでしたよ。 たとえばアリスが見つけた鏡の国の本『ジャバウォッキ』の冒頭。 夕ぐらだよ、ぬめらかなトーヴ、 ぐるぐらなける、ずとり、 よわじめな、ボロコーヴ、 みどぶーやから、きっきーな。 わけわかんないけど、わかる気もする! というか、もともと知ってるような言葉が並んでて、 ある程理解できた気になれるのがすごい。 ほかにもかなりグッとくる言葉がありました。 たとえばクイーンの言う 「この国ではね、同じ場所にいようと思ったら、全速力で駆けていかなきゃならないのさ。どこかよそへいきたいんだったら、少なくともその二倍の速さで走らなきゃね!」 とか、 ハンプディ・ダンプディの言う 「アンバースデイ・プレゼント」(「もちろん、バースデイ、つまり、誕生日じゃないときにもらうプレゼントさ」) とか。 いちいちすべての設定とセリフが、物語の濃縮エキスみたいで濃いのなんのって。 『千と千尋の神隠し』は、アリスが何度も自分の名前を忘れそうになるのをヒントにしたのかな。 ちなみに『ジャバウォッキ』に関しては、 ちゃんと本のなかでハンプディ・ダンプティが 得意気に解説してくれます。 #
by reiko.tsuzura
| 2004-09-23 08:52
| 本
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