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日曜日は、美輪明宏音楽会「愛」@パルコ劇場に行ってきました。 いやー、すごかった。まずロビーがすごかった。 花、花、華、華! 超豪華著名人たちからの絢爛たる花々に埋めつくされて、 あんまりお花に面識のない私は、思わずむせかえりました。 (ちなみに刈谷崎省吾からは観たこともないような濃い紫色の蘭が…) 美輪さまのお芝居は二度観たことがあります。 高校生のときに『毛皮のマリー』、大学生のときに『黒蜥蜴』。 基本的に私は、この人の歌やお芝居は、完璧なる“芸”だと思ってます。 というのも、ほとんどすべてのエンターテイメントには、 どこかにほんのちょっぴり“隙”があると思うんですよ。 それは“甘さ”といってもいいんですが、なんというか リアルライフに入り込んで、関わってくるときがある。 たとえばある歌に励まされたりとか、自分の人生に投影できたりとか。 私はロックやポップスは、そういうものだと思ってるし、 その“隙”が愛すべきウィーク・ポイントだと思ってます。 でも完璧な“芸”は、幕が上がっているときだけは 甘くて、夢みたいに美しくて、違う世界を見せてくれるけど、 幕が下りた瞬間、シャボン玉みたいにすべてが消える。 そういう残酷で冷たいものだと思うのです。 その舞台をいつか思い出すことがあっても、 それが自分を救ってくれたりすることは、絶対にないと思う。 美輪明宏の芸は、そういう容赦ない感じがするんですよね。 だから、あんまり間に受けちゃいけないと思ってるんです。 とまぁ、私は彼女の舞台はそんな距離を取って観ているんですが、 幕が上がってからはしっかり楽しんできました。 構成は、前半が唱歌や歌謡曲で、後半がシャンソン。 2時間半の長丁場で、トーク(お説教?)もたっぷり。 でもいい話ばっかりじゃなくて、すごく俗っぽいことも言うし、 わけのわからん摩訶不思議なことも言うし、人の悪口も言うし。 そういうさじ加減がすごく好き。 それに何がすごいって、たとえばシャンソンを歌う前に 歌の物語をひとりで演じるんですけど、 そりゃーもうリアルで『ガラスの仮面』の世界なんですよ。 演じるというより、次々と別人格が降りてくる感じ。 もともと霊感とかゼロな私ですら、 なんか見るちゃいけないものとか見えてきそうな気に…… なんだか空恐ろしかったです。 そして幕が下りたあとに、美しい身のこなしで 抱えきれないほどの花束を貰う美輪さまを観ながら、 「あぁ私の人生を千年分足しても、今日この人が貰ったお花の量には勝てないわ…」 ってしみじみ思いました。 すごいなぁ、あんなにお花を貰う人生って。 しょせんこの人が背負う世界は 私にはあんまり関係のない“芸”の世界だと思いつつも、 やっぱり美輪明宏は、人間国宝級の存在感なのでした。
by reiko.tsuzura
| 2004-09-28 01:01
| 音楽
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