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『逃げるは恥だが役に立つ』って、原作マンガ読んだことないんですけど、本当にいいタイトルですね。これだけは子どもに教えておきたいと思ってたことが、完璧な標語になった感じがする。これは生きるうえで役に立つ標語だよ! それとは別に、先日、車で久々に星野源の1stアルバム『ばかのうた』を聴いたんですよ。それで何度目かの衝撃を受けました。 このアルバムが出たころは想像できなかったほど売れっ子になった星野さんですが、はじめの一歩となったこのアルバムはいつ聴いても、すごい。 世界は ひとつじゃない っていう「ばらばら」から始まって、どの曲も「だよね、だよね。そうかもしんないね。それでいいかもね」って言いたくなる曲ばかり。生きる前提というか、世の中を見る目線に一本筋が通ってるんですよね。「世界はブレる、自分もブレる」っていう一本筋が。 最近は「くせのうた」の、 寂しいと叫ぶには という一節に、頭をカツーンとやられました。ときどき私も人生充実してるフリをしたくなったり、娘の母ちゃんとしてデキた人格を装いたくなったりするんだけど、そんなときこの言葉があると、一気に目が覚めます。 悩んでるとか孤独だとか、幸せだとか愛してるとか、そういう大仰な言葉で自分を言い表そうとすると、なんかちょっと恥ずかしい。ふと我に返って照れちゃう。そんなことするには「僕はあまりにくだらない」って、私もそう思う。自分の中にあるこの感覚を、私はけっこう信頼してます。 それは自尊感情が低いってことじゃないんですよ。星野さんは今、ドラマで自尊感情の低い男を演じてますけどね(しかも超ハマり役)。 星野さんが歌う「僕はあまりにくだらない」は、思考がぐるーっと大げさなところへ行っちゃったときに、ちゃんと自分の立ち位置に戻ってこれる合い言葉だと思います。 あとこの曲、間奏でさりげなくスーダラ節っぽいフレーズの入るところが好き。 『ばかのうた』は名曲だらけだけど、私がいちばん好きなのは「兄妹」。これ、いつ聴いても不思議な歌です。 夢でしか逢えない謎の妹のことを歌ってるんですが(兄と妹、どっちが現世にいるのか明記されてないので、謎の兄とも受け取れますが)、「生まれてないし 居場所がないの」っていうフレーズがあるから、生まれる前に死んじゃった子の歌なのかな。 でもそんな暗い歌じゃなくてね。この世にいない妹が、ざしきわらしみたいに、なんとなくいい雰囲気を感じさせる存在として、ふわふわ漂ってる。遊んだり、ふてくされたり、特別なことはしないけど、なんか側にいるだけで楽しくなる存在として。 この曲もそうですけど、星野さんはいつも「とくに役にたたないけど、なんかいいもの」を歌ってる気がします。 最近の曲と比べると『ばかのうた』のアレンジは素朴というか、手作り感があって、それもグッとくるんですよね。音のほつれた感じがいいんですよ。ただ、「SUN」好きのうちの子(5歳)にはあんまりウケませんね。ちなみに現在、うちの子の「心のベスト3」は、 1.「SUN」星野源 2.「バンドざまあみろ」岡崎体育 3.「PPAP」ピコ太郎 だそうです。ピコ太郎追い上げてきた! ダンナさんは『エピソード』収録の「ストーブ」が好きだそうです。火葬をストーブって表すところにゾワッとくるんだって。 『逃げ恥』の主題歌「恋」もいいですよねえ。「意味なんかないさ暮らしがあるだけ」とか、ちゃんとドラマとリンクしてるし、星野さんの目線も入ってるし。あと私、二胡の音色が大好きなんで、マリンバと二胡を組み合わせたアレンジも好みです。 『逃げ恥』で見る俳優の星野さんは、間の取り方が絶妙だなあと思います。「恋人になりましょう」って言われた瞬間の「……えっ」って返すタイミングとか、ほんとにツボ。いろいろベタなことやらされてるんだけど、うまい間の取り方でスレスレにかわしてる感じがする。このへん、やっぱ音楽家ならではのテンポなのかな、と思ったりしながら観てます。
by reiko.tsuzura
| 2016-11-18 16:54
| 音楽
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