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『ピニェロ』 詩人ミゲル・ピニェロを描いた映画です。 プエルトリコからニューヨークに移住し、 刑務所で書いた戯曲『ショート・アイズ』が認められ、 俳優、戯曲家、詩人として名声を得ながらも ストリートで生きつづけ、犯罪と薬にまみれ、 早すぎる死を迎えるというドラマチックな一生を遂げた人です。 知れば知るほど映画向き、というかドキュメンタリー向きなキャラクターの人ですねぇ。 ただこの映画、私のようにピニェロを知らない人にとっては、 ちょっと不親切な作りでした。 わかってる人が、わかってる人に向けて作ってる感じというか。 細かく編集されてるし、時間軸がゴッチャになってるから 途中までは物語を追うので精一杯になっちゃう。 でもこの作品のキモは彼の生き様だったり、 朗読される詩そのものだったりするわけで、 そこんとこにもうちょっと集中して見たかったなぁ。 もう一回観ろってことかしら。 ニューヨークに住むプエルトリコ人だから、ニューヨリカン。 私はこの言葉、すごいと思う。 私は日本に生まれた日本人だし、 東京に生まれて東京に住んでるから、 “自分の場所”というものにすごく感心が薄いんですよ。 だからたとえば移住してきた人の葛藤とか、違和感とか、 そういうのってゼンゼンわかんない。想像つかない。 でも、ある朗読会で 「君がプエルトリコに抱いてるのは、郷愁なんじゃないか」 と問われたときに、ピニェロはこう答えるんですよね。 俺はどこに行こうとNYのプエルトリコ人 24時間ニューヨリカンだ あんたが自分を責めても俺を責めるな そのワイシャツを責めろ 一種の囚人服だ (中略) たとえ俺がハンパ者でも あんたら全員より完全だ 俺は自分を知ってるし どんな時も変わらない 24時間同じプエルトリコ人だ これには、自分の場所に疎い私でさえも、 素直に「こりゃーカッコいいわこの人」って思いました。 すべての違和感と疎外感にあてはまる言葉だと思います。 そして、それを感じたことのない人なんて、きっとこの世にはいないはず。 ちなみにピニェロを演じたベンジャミン・ブラット、 超しぶいです。っていうか、こういう顔好みなんです~。 と思ってインタビュー映像を観てみたら、 無精ひげをカットしてジーンズのジャケットを着た彼は、 ごくフツーのマジメな俳優って感じで、ちょっと拍子抜け。 まぁそんだけ役にハマってたってことで。 ……とか思いながらなんとなくもう一度観てみたら、一回目よりずっとよかった。 しかもきれぎれに編集されてるから、どこから見てもハマれます。 ある意味ミュージック・ビデオみたいな映画かも。
by reiko.tsuzura
| 2004-12-23 22:53
| 映画
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