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9.『ティンブクトゥ』ポール・オースター/柴田元幸・訳 犬の物語ではなく、オースター作品におなじみの主人公キャラに犬をあてはめた感じ。犬だけに無条件に愛されることも多く、わりとすんなり「いい話」だったりもして、オースターを読んでる気があんまりしない。でもラストは好きです。 10.『村田エフェンディ滞土録』梨木香歩 世界史が大の苦手で、日本史もほぼ忘れかけてる私。時代背景もわからず最初は頭フル回転だったけど、不思議と異国“土耳古”の土埃の匂いが漂ってきた。今よりももっと世界がままならない時代の青春物語。『家守綺譚』と繋がってるとは思わなかった。またいつか、2冊セットで読もう。 11.『しゃばけ』畠中恵 遡ってやっと読んだシリーズ第1弾。後の短編集よりぐっとシリアス調。人間も妖も、それぞれ悩んで学んで、その後あの「のんびり大騒ぎ」な毎日が続くと思うと、味わい深いものが。逆に読んでいって正解だったかも。 12.『上と外〈3〉神々と死者の迷宮(上)』恩田陸 ジャングルに落下した兄妹がサバイバル。でもさいとうたかおの『サバイバル』を読んだ直後だったため、「まだぜんぜん恵まれてるよな…」と思ってしまった。 13.『上と外〈4〉神々と死者の迷宮(下)』恩田陸 ジャングルの地でついに“王”と対面。決戦が行われる土地の構造やルールが、RPG感覚。 14.『ゴーストバスターズ―冒険小説』高橋源一郎 BA-SHOがいて、則巻千兵衛がいて、ゴヂラがいて、女子高生がいて、タカハシさんがいる。確かにタカハシさんのブンガクの総決算を見ているかのよう……でも、だとしたら、エロが足りないよ!! 15.『贋学生』島尾敏雄 ある日突然現れた「僕」の友人。卑屈な態度で「僕」の自尊心をくすぐっては、「僕」の生活をかき乱して、嵐のように去っていく。その友人の言葉、言動すべてが嘘だったとしたら?――ありえない!と思いつつ、めちゃめちゃリアルとも思う。決定的に「何を考えてるのかわからない」他人がいる怖い事実が浮き彫りに。 16.『浮世でランチ』山崎ナオコーラ う!ナオコーラさん初めて読みましたが、これはおもしろい。自称ナイーヴなOLが自分探しの一人旅に出る、というしょーもない設定なのに、とてもきれいな形で物語が収束する。地味だなあ、と思っていると最後にポッと『浮世でランチ』というタイトルが光る。センスいいなあ。 17.『上と外〈5〉楔が抜ける時』恩田陸 王と対峙する錬、水路に迷い込む千華子、救出に向かう両親。ここが物語のピーク。ここまで緊張感を持続させてるのがすごい。 18.『上と外〈6〉みんなの国』恩田陸 物語を終わらせるだけの、駆け足の結末。まあ冒険の結末なんて、オマケみたいなもんだもんね。ちょっとマンガ的すぎた? 19.『ひさしぶりにさようなら』大道珠貴 『しょっぱいドライブ』がおもしろいと思えなかったので作者に興味がなかったんだけど、これ読んでビックリ。死ぬほどだらしない男女による超下流世界の物語なんだけど、下流も下流すぎるとエンタメになるんだなあ!呆れ笑いを誘う、パワフルな小説でした。 20.『優しいサヨクのための嬉遊曲』島田雅彦 そういや島田雅彦の本って読んだことないなあ、と思って読んでみた。主人公の自意識過剰なオクテぶりに時代を感じました。生きにくそうだ。 <マンガ> 『サバイバル』全10巻 さいとうたかを 文庫版で全10巻。天変地異に襲われた日本で少年がサバイバル。もー本当に救いのない話で恐ろしいことこの上ない。画も怖いし。地の文が「少年は○○を知った!」…と、妙な説明口調で生き抜き方を教えてくれるけど、正直、こんな世界で生きたくない…。とりあえず、鼠が心底嫌いになりました。あと外国人の顔がゴルゴ。 なんか『贋学生』だけヘンにレビュー調で浮いてるのが気になる(笑)。 でもすごくおもしろかった、っていうか怖かったです。 恩田陸『上と外』は1、2巻を2006年末に読んで、3巻~6巻はイッキ読み。 「先が気になりすぎる!」と思ってジムのマッサージチェアで読んでました。 この人の作品ってもっとガンガン映像化されてもよさそうなのに。 私は『禁じられた楽園』のインスタレーションを映像で観てみたいです。 けど、金がかかりそう!
by reiko.tsuzura
| 2008-01-29 01:25
| 本
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