|
2017年もいろいろドラマを観ました。9月クールはとくに充実してて、なかでも『刑事ゆがみ』が抜群におもしろかった。遅ればせながら神木くんの虜になりました。キレイな顔のまま成長してコメディもいけるなんて万能すぎるでしょ。あと浅野忠信さんは“悪い意味でトボけた”役が最高にハマる。 そして2017年とくに印象に残っているのは、やはり『カルテット』。『逃げ恥』でハードルが上がりまくった枠で、あのクオリティ、さすがでございました。しかし最終回は明るさと笑いの中に、けっこう重いテーマが描かれていましたね。カルテットドーナツホールに届いた謎の手紙は、心にずっしりときました。 とくにこの部分。 「みなさんの音楽は、煙突から出た煙のようなものです」
別に音楽やってるわけじゃない私ですらグサッとくる……。才能ない人間ががんばって、何の意味があるんですか?って問いは、誰にでも、何にでも当てはまる言葉ですしね……。 私も母親なんで、娘には「好きなことはがんばったほうがいいよ」と言ってるし、これからも言うつもりです。けど、やっぱりどうしたって「才能がない」ことって、ありうると思うんですよ、残念ながら。とくに音楽のような芸術分野においては。ちなみに私は幼少からピアノやってましたけど、小6で「煙の分際」であることに気づきました。そっから3年続けたけどキツかったぁ〜。 カルテットドーナツホールの4人は、それでも音楽を続けていく。なぜ続けていくのか、それも一応描かれていたけど、正直その未来はあまり明るいものとは思えない。ものすごく含みのある最終回、みごとでした。 で、その「煙の分際で」っていう呪いのような言葉が胃のあたりにズシーンときてるところで始まったのが、『SR サイタマノラッパー~マイクの細道~』でした。 SRは、ラッパー3人が川崎クラブチッタという一世一代の晴れ舞台を目指す音楽ドラマ。青森の大間を始点に、東北の食や名所を描くロードムービーでもありました。 このラッパー3人がね、センスも才能も金も運もなくて、やる気しかないんですよ。大間から川崎に向かう道中、曲も作らなきゃいけないのに、ロクなことやんない。で、いちいちケンカしながらイマイチなラップをかます。 なかでも、遠野のカッパ伝説になぞらえた回は最高でした。 池で立ちションしたらカッパに呪われて、呪いを解くためにカッパに女子のパンチラを見せるっていう話。遠野で出会ったラッパーとチームを組んで、カッパを誘い出すために池のほとりでラップを始めるんだけど、最初は嫌々やってた女子2人がだんだんノリノリになってくる。いい感じにダンスしてたらスカートひらー、パンツちらー、すかさずカッパが覗きにきて次第にノリノリ、最後はみんなでプチョヘンザ……って、なにコレ書いててビックリするほどくだらないんですけど! でも、なんか、「同じアホなら踊らにゃ損々」な盛り上がりに思わず熱くなっちゃったんですよね。いろいろ脱ぎ捨ててアホになれる瞬間って、ライヴの醍醐味じゃないですか。そのツボを的確に捉えてた。 HIP HOP寺で修行したり、ディスりあったり、ヤバい人たちに拘束されたりしながら、3人はなんとか最終回でチッタの大舞台に上がります。会場入りするとリアルなラッパーたちが続々出てきて挨拶代わりにラップを仕掛けるんだけど、3人はオロオロするばかりで一言も返せない。そこで「ああコイツら、ほんとに才能ないんだな〜」って見せつけてからの、最初で最後の大舞台。最終回はほぼライヴシーンで占められていて、音楽愛を感じました。 そしてライヴを終えた3人は、それぞれのサエない生活に戻ります。「やっぱラップやろうぜ」も「また集まろうぜ」もない、言葉足らずの解散シーンは胸にしみた。尻すぼみな感じだからこそ濃厚に漂ってましたね、「あ、こいつらやめないな結局」っていうムードが。「煙の分際で、やり続けるんだな」って。 「煙の分際で、続けることに一体何の意味があるんだろう」 っていう問いに答えは出ないけど。まあいいじゃん、いろんなヤツがいていいじゃん。って、畑道をラップしながら帰る主人公を観ながら思いました。またいつか続きが見たいな。 ちなみにこのドラマ、夫婦でハマり、RHYMESTERの「マイクの細道」(オープニング曲)を聴きまくってたら、6歳の娘がサビを完コピしました。 さー、2018年もドラマ観るぞ〜。 冬の5大テーマ祭り「国内ドラマ」をもっと見る
by reiko.tsuzura
| 2018-01-10 15:25
| 音楽
|
ファン申請 |
||