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最後に行った武道館のメカラウロコは1999年。このころはバンドの人気もピークで、ファンクラブでもチケットがひとり1枚しか取れなくて、ひとりで武道館に行ったんでした。両隣の女の子もみんなひとり参戦で、北海道と神戸から来たと言ってたな。懐かしい。 今回も当然チケット激戦で、わりとみんなひとりで来てる感じでしたね。しかし会場は圧倒的なホーム感がある。メカラウロコは身内(ファン)の大忘年会だもんね。開演前から徳澤青弦さん率いるストリングス隊が生演奏しているという豪華演出で、年忘れ感がググッと上がりました。 「メカラウロコ7」を再現したオープニングから、懐かしい曲が揃ったセットリスト。「聖なる海とサンシャイン」ではこの曲をプロデュースした朝本浩文さんを思い、その次に演奏した「Four Seasons」ではこの曲をカヴァーしたフジファブリック志村さんのことを思いました。 バンドが活動休止してる間に、いいことも悪いこともあって、いろんなことが変わった。だから吉井さんがMCで言った「冬を一緒に越えてくれてありがとう」って言葉が染みました。 演奏は5月と7月に観た復活ツアーから、ぐっと変わってましたね。 復活直後のガーッと勢いで行く感じがなくなって、50代のバンドらしい、地に足の着いたトーンになったというか。ああこのグルーヴでこれから続けていくんだなと思いました。 それで枯れたオッサン臭がしたらめっちゃ嫌ですけど、そこはもう再始動後の気迫がキープされていて、音が艶々してる。あとイエローモンキーの曲は華やかな見せ場が多いので、ちょい落ち着きのある演奏のほうが、いまは楽曲のよさを引き出せる気がします。 本編ラストは「フリージアの少年」っていう超地味な曲で驚きました。純潔を失った17歳の少年がステージに立って歌いだすという、美輪明宏オマージュの曲。吉井さんが「少年の歌をうたいます。少年って言うか、もうおじさんだけど。でも僕らの心の中にはいまも少年がいて」というようなことを言ってて、えっ、これってこのバンドの歌だったのかって今さらながら思いました。 言われてみれば、「もしも貴方が 今夜僕に釘づけで 百年の恋が 生まれるかもね」というサビの歌詞は、イエローモンキーと私の関係そのものじゃないの!(私の中二病復活) それと「フリージアの少年」、Aメロがめちゃめちゃブルージーに聞こえてビックリしました。えっ、こんなシブいコードだったっけ?って。 確かに「INSIDE BLUES」という言葉が歌詞に出てくるけど、ブルース調の曲だと認識したことはいままで一度もなかった。思わず帰り道で音源を聴き返したけど、やっぱりほとんどブルースっぽさは感じない。ということは、歌い方なり、音色なりで、あのブルージーな色合いを出してたわけだ(もしかしてコードも少し変えてた?)。吉井さんのソロキャリアが活きてるなあ、と思います。アラフィフになったイエローモンキーにしか鳴らせない「フリージアの少年」でした。 こういうアレンジを聴けるのはライヴの醍醐味で、これが聴けただけで感無量。やっぱり曲って、音楽って、生きてるんだなあと思います。好きな曲は聴くたびに発見があるし、違う顔を見せてくれる。 これからもイエローモンキーはいままで生み出した曲を、いろんな解釈で演奏し続けるんでしょう、バンドが続く限り(もう解散はしないとこの日も言ってました)。私も生きてる限り、いろんな解釈で聴き続ける。お互い生きてる限り、続くんだなあ。 アンコールでストリングスを迎えた「真珠色の革命時代」は、両隣の女性が泣き出して、私も思わずホロッときました。アリーナ席のあたりに10代の自分がいるような気もした。20年の時間を行き来するような不思議な感覚でした。 劇場型のストリングス・アレンジがキモの新曲「砂の塔」もすごく力強く響いてたし、新作も楽しみ。歌謡ロックではないロックを求めて苦しんだ時期もあったバンドですが、紆余曲折あっていま堂々と鳴らす歌謡ロックは、ほんとにいい味わいがある。いまだからこそ生み出せるアルバムがあるでしょう。これはファンの確信です。 なにしろメンバー紹介で「今年もおつかれ!来年もよろしく!」と言い合う4人の姿を見て、しみじみうれしかった。「また来年」と言い合えるのって、当たり前のことじゃないんですよね。 再始動のニュースで始まった激動の2016年。私にとっても思い出深く、いい1年になりました。それを締めくくる大忘年会ライヴ、すばらしかった。また来年!
by reiko.tsuzura
| 2016-12-29 12:50
| 音楽
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