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『アッシュベイビー』 金原ひとみ おなじみハタチの芥川賞受賞作家、金原ひとみの2作目です。 図書館でパッと目に入ったので、読んでみました。 自傷癖のあるキャバ嬢、赤ん坊と小動物にしか欲情しない男、 生命力と節操のない男、誰とでも寝る女、女と寝る女。 そんな登場人物たちが刺したり刺されたり、やったりやられたり。 そしてキャバ嬢の主人公が、好きな男にひたすら 殺してほしいと願う話です。すごい乱暴に言うと。 それにしても、これは……。 私は正しい日本語とか美しい日本語なんて別にどーでもいい、というか むしろそんなのクソくらえ……と思ってたんですけど。 これを読んで、私も案外、ダメなもんはダメなんだなぁと、 ちょっと新鮮な気分になりました。 やっぱり私にとって読書って、暇つぶしの手段だから。 (だってこんなにしちめんどくさいエンタメって他にないから) 「お前はほんと公衆トイレだな。」なんて言葉を わざわざ読んでるかと思うと、さすがに悲しくなってきちゃう。 その空しさがね、なにかカタチになればいいんですけど、 (「具合が悪くなる」とか「ブルーになる」でもOK) みごとなまでに読んだはしから忘れちゃうから、また空しい…。 いちばんもったいないのは、血なまぐさいのにエロくないとこ。 中盤から「殺して」「殺れ」「殺してってば」とループに陥る文体も、 あまりに度がすぎているので、一瞬「計算?」と思ったけど、 ここのインタビューで彼女が語るとおり、 夜中にお酒を飲みながら書いているのなら、なんだか納得。 「頭の中は鈍くなるけど、本能的な言葉がどんどん出てくるので、テンポよくキーボードを打っていける。無意識の世界に入っていくのかもしれないですね。」て…… “本能的な言葉”と“無意識の世界”が泣くわ…。 芥川賞がナンボのもんだとは思うけど、 彼女の作品がこの先ずっと残って、たくさんの人が読んでいくんだな、と思うと萎えますね。 オッサンだけが「おっ、新しい感覚だねぇ」って喰いついてる感じも、ホント萎えます。 それでも「クソー読んじまったよ」と言いたくなるだけ、 この小説にはパワーがあるということなのかしら。 (Amazonの投稿レビューは、現在92件!) まぁせっかくなので、『蛇にピアス』は読んでみることにします。 ↓TBさせていただきました アッシュベイビー (金原ひとみ) 「アッシュベイビー」 金原ひとみ
by reiko.tsuzura
| 2005-03-21 03:12
| 本
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